「きんいろモザイク」 原悠衣

あらすじ

イギリスからやってきた女の子・アリスは、日本で忍(しのぶ)の家にホームステイ中。忍は外国の文化が大好きで、アリスとは大の仲良しです。忍の友人の綾や陽子、もう1人の金髪美少女・カレンなども加え、にぎやかな日常が繰り広げられます。

みどころ

日本とイギリスの女の子たちの賑やかな日常を描く、公称「日英美少女ミクスドコメディ」。いわゆる日常ものですが、日本文化やイギリス文化への言及がちょくちょくあるのが個性となっています。

高校1年生から卒業までを全11巻を通して描き、いったん完結しています(ちなみに現実での連載期間は約10年に及んでいます)。その後、大学生になったみんなを描いた番外編「きんいろモザイク Best wishes.」もリリースされました。

忍×アリス

主人公の忍(通称シノ)は、海外の文化が大好き。中学時代には、イギリスのアリスという女の子の家にホームステイしていました。忍は金髪の女の子が大好きで、特にアリスとはとても仲良しです。

アリスは本作のヒロイン。高校生になったアリスが今度はシノの家でホームステイするために日本にやってくるところから、物語は始まります。アリスも忍のことが大好き。

ただし、忍は他の金髪少女も好きなので、アリスがヤキモチを焼いてしまうこともあります。このあたりは、アリスがほぼ忍一筋なのとは対照的。

また忍には勇という姉がいます。ぼんやりしている忍とは違い、凛としたクールな性格。ですが実は忍のことをとても気にかけており、シスコンだとよく言われています(本人は否定していますが)。

綾×陽子

忍の友人の綾は、本作でも特に百合な傾向の強い女の子です。親友である陽子のことが好きなのですが、素直になれずにツンデレな態度を取ってしまいます。恋する乙女のような表情も多く、作中で一番女の子らしいキャラかも。

一方、陽子のほうは極度の鈍感で綾の気持ちに気づく様子はありません。ですが無意識にイケメンな言動で綾をドキッとさせることも。基本的には相思相愛と言っても良い2人です。

日本人同士のカップリングは本作では意外と貴重。安定して百合ラブコメ要素を供給してくれるありがたい存在といえるかもしれません。なお大学進学後は同居しており、「新婚生活」とからかわれていました。

穂乃花×カレン

穂乃花は、金髪が大好きな女の子。ふだんはどちらかというと地味なキャラなのですが、金髪が絡むとテンションが急上昇。奇行スレスレの行動に出ることも少なくありません。どちらが真の金髪好きかをめぐって、忍と張り合ったこともあります。

一方カレンは、アリスの少し後に日本にやってきたイギリス人の女の子。アリスと比べてややカタコトな日本語がチャームポイントです。

忍がアリスを好きなのに対し、穂乃花はカレンが大好き。忍と違って他の金髪少女にそれほど執着せず、ほぼずっとカレン一筋なのもポイントが高い点となっています。金髪というよりカレンが好きなのではと自分で考えている場面もあったり。

カレンのほうは穂乃花一人にそこまで執着している様子はないものの、愉快な友人として普通に好かれているようです。こちらも相思相愛でしょうか。


英語版

英語版が2016年ごろからリリースされています。タイトルは「Kiniro Mosaic」。ペーパーバックのほか、KindleやBook Walkerに電子版があるので比較的気軽に読めるかと思います。

これがとても英語の勉強におすすめの良作となっています。作中の会話などが忠実かつ自然に英訳されているほか、巻末には英語版向けに新規制作された解説コーナーがあります。こちらは主に、作中に登場した日本文化や、日本人以外にはわかりづらい点などを解説したもの。巻によってはここだけで10ページ違い大ボリュームです。全巻分読めば、もはや英語の解説書を1~2冊読破したのに近い効果がありそう。

例えば第1巻の最初の話だけでも「日本の学校の入学時期」「正座とは何か」「日本の家では靴を脱ぐ」といった項目が説明されています。読むだけで日本文化に詳しくなれそうです。英語で書かれているので、日本について英語で説明するスキルも磨くことができます。

アニメ版

2013年にTVアニメ第1作「きんいろモザイク」、2015年に第2作「ハロー!!きんいろモザイク」が放映されました。その後は劇場版作品として「きんいろモザイク Pretty Days」「きんいろモザイク Thank you!!」などが制作されています。

主なキャストは以下の通り。

  • 大宮忍:西明日香
  • アリス・カータレット:田中真奈美
  • 小路綾 :種田梨沙
  • 猪熊陽子:内山夕実
  • 九条カレン: 東山奈央
  • 松原穂乃花 :諏訪彩花

見ての通り、イギリス人のキャラも含めてすべて日本人の声優さんです。ですが英語を喋るシーンはかなり頑張っているので一聴の価値あり。

アニメ版も海外展開されており、英語版のBlu-rayも発売されています。もともと日本語と英語が混在する作品のためか、英語吹き替えが存在しないのがちょっと残念?全編英語バージョンも聴いてみたかったですね。