「聖クロス女学院物語」南部くまこ

あらすじ

ここ、聖クロス女学院では、上級生のお姉様と文通をする「デスティーノ」という慣習があります。でも文通相手が誰なのかは秘密で、知ろうとしてもいけません。

中等部1年になったばかりの陽奈は、眼帯のミステリアスな美少女・花音(かのん)と出会います。 花音は、自身の主催する謎の部活「神秘倶楽部」に花音を誘います。そこに入れば、文通相手の正体もわかるかも……?

みどころ

疑似姉妹制度のようなユニークな制度を持つ女子校が舞台。「マリア様がみてる」に代表されるような、王道的な百合作品に近い世界観を持っています。

実は児童向け小説レーベル「角川つばさ文庫」からリリースされたという、特殊な背景も持ちます。2014年に1~3巻が出た後、続刊がありませんでしたが、2020年になって作者さんから再開の告知がされました。今後の動きが注目されます。まだまだ作者さんの個人的な活動に近い段階のようなので、これからの展開に期待です。

ちなみに作者の南部くまこさんは百合なライトノベルを多数執筆しており、百合な作風が意図したものであることが想像されます。

花音

花音はこの作品のヒロイン的存在で、1巻の表紙でも強い存在感を放っています。隻眼ながら美しい容姿を持ち、かつその性格はエキセントリック。 熱烈なオカルトマニアで「神秘倶楽部」を主催しています。

そんな花音になぜか気に入られてしまった陽奈は、いろいろな事件に巻き込まれていくことになります。事実上ストーリーを動かしているキャラともいえますね。

史織

史織は、生徒会長でみんなの憧れ。 陽奈もひと目見た時から憧れています。実は陽奈の文通相手のお姉さまかもしれないという可能性がたびたび示唆されますが、真相は不明。

あの花音ですら、史織には心酔しているようです。だとすると史織を慕う者どうしで恋のライバル、あるいは三角関係の予感がしなくもないですが、どうなるのでしょうか。

全3巻の概要

書籍としてリリース済の全3巻のあらすじを、簡単に紹介。

1 「ようこそ、神秘倶楽部へ!」

陽奈の中等部進学、花音との出会いなどが描かれます。「神秘倶楽部」に入れられてしまった陽奈は、美術室に現れる幽霊の調査をすることに。

2 「ひみつの鍵とティンカーベル」

神秘倶楽部が本格的に活動開始。そんなとき、学院のバザーの売上金が紛失し……。

3 「花音のひみつとガジュマル」

夏休みを利用して沖縄に遊びに行く神秘倶楽部一行。 妖精探しがメインテーマですが、花音の右目に関するエピソードも描かれます。

ここから盛り上がっていきそうというところで終わっています。伏線らしきものも散りばめられています。ですが2022年現在続編は出ていません。上述の通り、作者さんが続編の執筆の意向なので、続きがリリースされることを祈りましょう。