「私は君を泣かせたい」文尾文

あらすじ

相沢羊(あいざわ よう)は、優しく誰からも好かれる女の子。でもどこか周囲に壁を作っているようなところも。

羊はある日、映画館でクラスメイトのヤンキー・虎島ハナ(こじま はな)を見かける。 映画を見て無邪気に泣いているハナの姿に、羊はなぜだか強く心惹かれていく。

羊がハンカチを貸したのが縁で、ハナは羊のいる「映画研究部」に入部することになった。 こうして、放課後の部室で2人で映画を見る日々が始まった。

私は君を泣かせたい 1 (ヤングアニマルコミックス)

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文尾文
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作品概要

八方美人の気がある女の子と、一見怖いけど涙もろいヤンキーの交流を描いた作品。 2人で映画を見る場面がよく登場しますが、映画ものという感じではなく、メインはあくまで2人の交流です。

なお、作者の文尾文さんはゲーム「屋上の百合霊さん」のコミカライズを手掛けている他、百合アンソロジー「エクレア」にも参加しています。

みどころ

ストーリーの中心となるのは、羊とハナの2人です。 表面的には良い子だけど、どこかひねくれた面を持つ猫かぶりな羊。 一方、ヤンキーとして恐れられているけどすぐ感動して泣いてしまう純真な面を持つハナ。

部室で映画を見ているときだけは、お互いに素の自分でいられるようです。 そして2人ともそこに居心地の良さを感じています。

ただ、羊はハナの涙もろい一面を他の人にはあまり見せたくないと思っています。 これは自分だけが知っていたいという優越感か、それとも独占欲なのか。 羊自身も自分の気持ちに少し戸惑いを覚えているようです。

美雨×葵

美雨(みう)と葵は、羊たちのクラスメイトです。

美雨はいかにも女の子という感じの、ふわふわした子。 ですが内面では強い芯を持っており、いざというときは葵をリードすることも。

一方葵は、ボーイッシュで活発そうなタイプです。 ただし内面的には脆くて不安定。特に美雨のことになると大人げない言動が目立ち、美雨にたしなめられることも少なくありません。

葵の美雨に対する気持ちは真剣そのもので、単なる友情ではないようです。 コミック第2巻からは、自分の気持ちに悩む葵、そして葵への接し方に迷う美雨の姿が描かれます。 そんな2人の様子を見た羊とハナにも少なからず影響を与えてきそうです。

最終的には、おそらく多くの読者の予想(期待)とはちょっと違う方向での解決となっています。とはえい主役である羊とハナと比べ、より明確に女の子どうしの恋愛要素を描いているため、強い存在感を放った2人であったことは間違いないと思います。